この記事で分かること
Clash Verge Rev の TUN モードを Windows で有効にすると、Windows のシステムプロキシ設定を参照しないアプリの通信も、Mihomo のルールに沿って処理できる場合があります。ゲームランチャー、開発ツール、コマンドラインアプリなどがシステムプロキシを使わず、通常の設定だけでは接続先を切り替えられないときに役立つ方法です。
ただし TUN は、アプリ内のプロキシ設定を一つ追加するのとは異なり、仮想ネットワークアダプターを経由して端末の通信経路に介入します。管理者権限、Windows のネットワーク設定、別の VPN クライアントなどが関係するため、最初に仕組みと注意点を確認してから試してください。本稿では、事前確認、設定、動作確認、VPN 競合時の切り分けまで、段階を追って説明します。
TUN モードの役割とシステムプロキシとの違い
通常のシステムプロキシは、Windows のプロキシ設定を参照するアプリに接続先を知らせる仕組みです。ブラウザーなどはこの設定に従うことが多い一方で、アプリによっては独自の通信ライブラリーを使い、Windows のプロキシ設定を無視します。その場合、ブラウザーはプロキシ経由で接続できても、対象アプリだけ通信に失敗することがあります。
TUN モードでは、仮想ネットワークアダプターを通じて通信を受け取り、Mihomo のルールや DNS 設定に基づいて処理します。そのため、アプリにプロキシ設定がなくても通信をルールへ載せられる可能性があります。ただし、すべての通信が必ず同じ経路を通るわけではありません。アプリ独自の VPN、特殊なネットワークドライバー、IPv6 の扱いなどによって挙動は異なります。
導入の順番としては、まずプロファイル、ノード、ルールが正常に動くことを確認し、次にシステムプロキシを試します。それでも特定のアプリだけがプロキシを使わない場合に、TUN を追加するのが現実的です。TUN を有効にする前から接続全体が不安定なら、TUN ではなくプロファイルやノード、ルールの問題を先に調べましょう。
- システムプロキシ:対応アプリを手軽にプロキシへ接続したい場合に向いています。
- TUN:システムプロキシを参照しないアプリも含めて通信を扱いたい場合に検討します。
- 併用:対応状況や設定によって挙動が変わるため、一度に複数の経路設定を切り替えず、結果を一つずつ確認してください。
有効化する前に確認すること
まず Clash Verge Rev を開き、使用中のプロファイルが読み込まれていて、プロキシグループから利用可能なノードを選べることを確認します。TUN は接続先を自動で用意する機能ではありません。プロファイルが期限切れ、またはノードが利用できない状態では、TUN を有効にしても通信は回復しません。通常のシステムプロキシ経由でブラウザーの接続テストができるかも確認しておくと、問題の切り分けがしやすくなります。
次に、Clash Verge Rev のバージョンと使用コアを確認してください。画面の配置や項目名はリリースによって異なることがあり、TUN の設定が「設定」「Mihomo」などの画面にある場合もあります。利用中のバージョンに表示される説明と、配布元の案内を優先し、別バージョンの画面を前提に設定項目を探し続けないようにします。
TUN の仮想アダプター作成やネットワーク経路の設定では、管理者権限が必要になることがあります。アプリから許可を求められた場合は、表示された内容を確認してから承認してください。会社・学校の管理端末では、管理ポリシーによってネットワーク変更が禁止されている可能性があります。許可を回避したり、組織のセキュリティ設定を無効化したりせず、管理者へ確認するのが安全です。
すでに別の VPN クライアント、セキュリティ製品の通信フィルター、仮想ネットワークアダプターを使っている場合は、その名前も記録してください。複数のツールが同時にデフォルトルートや DNS を変更すると、Clash Verge Rev のログだけでは原因が分からなくなることがあります。最初のテストでは、ほかの VPN を切断し、必要な通信保護機能を不用意に停止しない範囲で、競合要因を減らします。
Clash Verge Rev で TUN を有効にする
以下は一般的な確認手順です。項目名はバージョンによって異なるため、画面上の説明が異なる場合は、使用中のアプリに表示される案内に従ってください。変更前にプロファイルとノードが正常であることを確認し、必要なら設定画面の状態を記録しておきます。
- Clash Verge Rev を起動する:必要に応じてアプリを管理者として起動します。通常起動で権限不足の通知が出る場合は、通知内容を確認し、アプリが案内する方法で権限を付与してください。
- TUN の設定を開く:サイドバーの設定画面から TUN または仮想ネットワーク関連の項目を探します。TUN のスイッチが見つからない場合は、アプリとコアのバージョンを確認し、該当機能が利用可能か調べます。
- TUN を有効にする:画面に表示される説明を読み、必要なサービスや権限の確認を完了してからスイッチをオンにします。初回起動時に Windows の許可ダイアログが出た場合は、発行元や要求内容が意図したものか確かめてから操作してください。
- DNS 関連の設定を確認する:DNS の処理や DNS への通信を TUN に含める設定が表示される場合は、プロファイルの DNS 設定と合わせて確認します。項目の意味が分からない場合、複数の DNS オプションを同時に変更せず、既定値から一つずつ試してください。
- 有効状態を確認する:設定画面で TUN が稼働中と表示されるか、エラーや権限不足の通知がないかを見ます。オンにしただけで動作中と決めつけず、次の手順で Windows 側と対象アプリの両方を確認します。
TUN が開始できない場合は、アプリを何度も切り替える前に、Clash Verge Rev の通知とログを確認してください。仮想アダプターの作成失敗、サービスの開始失敗、権限不足では、それぞれ必要な対応が異なります。アプリの再起動や Windows の再起動が案内されている場合は、作業中のファイルを保存してから行い、再起動後に TUN の状態が維持されているかを確認しましょう。
仮想アダプターと対象アプリの通信を確認する
まず Windows のネットワークアダプター一覧を開きます。スタートメニューで「ネットワーク接続の表示」を検索するか、実行ダイアログで ncpa.cpl を開き、Clash Verge Rev または Mihomo に関連する仮想アダプターが作成され、有効になっているかを確認します。表示名は環境やバージョンで異なる場合があります。見慣れないアダプターがあるからといって、すぐに削除したり無効化したりしないでください。
次に、Clash Verge Rev の接続ログを開いた状態で、問題が起きていたアプリを一つだけ起動し、対象サービスへ接続します。ログに接続先のホスト名、適用されたルール、選択されたポリシーが表示されるかを確認します。ログに対象の通信がまったく現れない場合は、TUN が実際には開始していない、アプリが別の通信方式を使っている、または Windows 側の経路が想定と異なる可能性があります。
ログに通信が表示されるのに接続できない場合は、ルールとノードを確認します。対象のホストが DIRECT にマッチしていれば、TUN 自体ではなくルールの順序やポリシーが原因かもしれません。意図したプロキシグループへ送られているのに失敗するなら、ノードの状態やサービス側の応答、名前解決、TLS エラーなどをログから切り分けます。特定のサイトだけでなく、通常の国内サイトや社内サービスも試すと、ルールの影響範囲を把握しやすくなります。
確認中はブラウザーと対象アプリを区別してください。ブラウザーが接続できても、それだけでは TUN の動作確認にならない場合があります。ブラウザーはシステムプロキシを使って成功し、対象アプリは別経路で失敗している可能性があるためです。逆に対象アプリが接続できても、すべてのアプリや UDP 通信まで同じように処理できるとは限りません。利用したいアプリ、接続先、実行時刻を記録しながら確認すると、後でログと照合できます。
- 仮想アダプターが見えない:TUN が起動しているか、起動時に権限やサービスのエラーが出ていないかを確認します。
- ログに対象通信がない:対象アプリを完全に終了して起動し直し、再試行します。OS やアプリのネットワークキャッシュも影響することがあります。
- 通信はログに出るが失敗する:ルール、選択ポリシー、ノードの状態を順に確認します。
- 一部のアプリだけ失敗する:そのアプリ独自の VPN、プロキシ、DNS 設定や通信方式を確認します。
VPN 競合の切り分けと設定を戻す方法
別の VPN と TUN を同時に使うと、どちらの仮想アダプターが通信を受け取るか、デフォルトルートや DNS をどのアプリが設定するかで競合することがあります。よくある症状は、TUN をオンにした直後から全アプリがオフラインになる、DNS の名前解決だけ失敗する、VPN を切断してもネットワークが戻らない、接続が断続的に切り替わる、といったものです。特に会社の VPN やゼロトラスト製品は、組織のルーティング・セキュリティポリシーを適用するため、個人用プロキシと単純に併用できない場合があります。
競合が疑われるときは、まず接続中の VPN を一つに絞って比較します。組織から指定された VPN を利用する必要がある場合は、勝手に切断せず、管理者の案内に従ってください。個人用の別 VPN を停止できる環境なら、Clash Verge Rev の TUN をオフにして通常のネットワークが戻るかを確認し、その後、他の VPN を切断した状態で TUN だけを有効にして再テストします。一度に複数のスイッチを変更しないことが、原因の特定につながります。
VPN を切断しても通信が回復しない場合は、Clash Verge Rev の TUN をオフにし、システムプロキシも意図しない状態で残っていないか確認します。アプリのネットワーク設定にリセットや停止の操作が用意されている場合は、説明を確認してから利用します。Windows のアダプターを手動で削除したり、ネットワーク設定をまとめて初期化したりするのは、通常の復旧手順を試した後にしてください。会社や学校の端末では、管理者に相談せずネットワーク構成を変更しないでください。
設定を戻す場合は、TUN をオフにし、必要ならアプリが案内する方法でサービスを停止した後、Windows のシステムプロキシを以前の状態へ戻します。ネットワーク接続が回復したことをブラウザーと対象アプリの両方で確認してください。仮想アダプターが一覧に残っていても、アプリの停止後に自動管理される場合があります。用途が分からないアダプターを手動で削除するのではなく、アプリの案内や Windows の状態を確認して判断するのが安全です。
システムプロキシだけで動くアプリなら、TUN を常時有効にせず、必要なときだけ切り替える運用も選べます。一方、プロキシ設定を持たないアプリが複数あり、ログでルールと経路を確認できるなら、TUN は便利な選択肢です。ほかの VPN ではアプリごとに設定を追加する必要があったり、経路の判断材料が分かりにくかったりすることがありますが、Clash Verge Rev はルールと接続ログを使って通信先を追いやすい点が実用上の利点です。用途に合う Windows クライアントを確認したい場合は、配布元と対応環境を確認したうえで選んでください。