TUN モードとは何か?なぜ必要なのか

Windows 環境で Clash Verge Rev を使用している際、ブラウザの通信は問題ないのに、一部のオンラインゲーム、Spotify や Netflix などの UWP アプリ、あるいはターミナル経由の通信がプロキシを通らないという経験はありませんか?これは、従来の「システムプロキシ」設定が HTTP/HTTPS 通信のみを対象としているためです。

TUN モードは、オペレーティングシステムレベルで仮想ネットワークカード(仮想ネットワークアダプタ)を作成し、すべての IP トラフィックを Clash カーネルに強制的に引き込む機能です。これにより、プロキシ設定を個別に持たないアプリケーションや、特殊なプロトコルを使用するソフトウェアでも、Clash の分流ルールを適用できるようになります。2026 年現在、Clash Verge Rev は Mihomo カーネル(旧 Clash Meta)を標準搭載しており、非常に安定した TUN 実装を提供しています。

補足: TUN モードは「仮想 NIC」を作成するため、VPN と同様の仕組みで動作します。そのため、他の VPN ソフトウェア(OpenVPN, WireGuard など)と同時に使用すると競合が発生する可能性があります。

設定前の準備事項

TUN モードを正常に動作させるためには、いくつかの前提条件を満たす必要があります。これらを怠ると、スイッチをオンにしてもエラーが表示されたり、インターネット接続が切断されたりすることがあります。

  • 管理者権限: 仮想ネットワークアダプタを作成・操作するため、Clash Verge Rev は必ず「管理者として実行」する必要があります。
  • 最新のカーネル: Mihomo カーネルを使用していることを確認してください。Verge Rev の「設定」メニューからカーネルのバージョンを確認できます。
  • Wintun ドライバ: Windows で TUN を動作させるための標準的なドライバです。通常はアプリが自動的に処理しますが、手動インストールが必要な場合もあります。

TUN モード設定のステップバイステップ

それでは、具体的な設定手順を見ていきましょう。以下の手順を順番に実行してください。

1. 管理者権限の付与

まず、Clash Verge Rev を完全に終了させます(タスクトレイからも終了してください)。その後、デスクトップのショートカットまたは実行ファイルを右クリックし、「管理者として実行」を選択します。

毎回右クリックするのが面倒な場合は、プロパティの「互換性」タブで「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れておくと便利です。

2. サービスモードのインストール(推奨)

TUN モードをより安定させるために、Service Mode のインストールを推奨します。設定画面の「General(全般)」タブにある「Service Mode」の横の「Manage」をクリックし、「Install」を選択してください。インストールが成功すると、アイコンが緑色に変わります。これにより、アプリを管理者権限で起動し忘れても、バックグラウンドサービスがネットワーク処理を補助してくれます。

3. TUN モードの有効化

準備が整ったら、以下の操作を行います:

  1. 左側のメニューから 「Settings(設定)」 を開きます。
  2. 「General」セクションにある 「TUN Mode」 のスイッチを探します。
  3. スイッチをオンに切り替えます。
  4. 必要に応じて、その横の歯車アイコンをクリックして詳細設定(スタックの選択など)を確認します。通常は system または gvisor スタックを選択します。

スタックの選択:System vs gVisor vs Mixed

TUN モードの詳細設定では「Stack」を選択する項目があります。それぞれの特徴は以下の通りです:

スタック名 特徴 推奨されるケース
System OS 標準のネットワークスタックを使用。パフォーマンスが最も高い。 一般的な利用、高速通信が必要な場合。
gVisor Google が開発したユーザー空間スタック。互換性が高い。 System スタックで通信トラブルが発生する場合。
Mixed 複数のスタックを組み合わせたハイブリッド。 高度な設定が必要なユーザー向け。

2026 年の Windows 11 環境であれば、まずは System スタックを試し、問題がある場合のみ gVisor に変更することをお勧めします。

UWP アプリのループバック制限解除

Windows の仕様により、Microsoft Store からインストールしたアプリ(UWP アプリ)は、ローカルプロキシへのアクセスが制限されています。TUN モードを有効にしても、Netflix や Instagram アプリが動かない場合は、この制限を解除する必要があります。

Clash Verge Rev には、この制限を簡単に解除するツールが内蔵されています。「Settings」内の「UWP Loopback」ツールをクリックし、プロキシを適用したいアプリ(またはすべてを選択)にチェックを入れて保存してください。

よくあるトラブルと解決策

TUN モードを有効にした際によく遭遇する問題とその対処法をまとめました。

インターネットに繋がらない

TUN をオンにした瞬間に通信が途切れる場合、DNS の競合が原因であることが多いです。Clash の設定ファイル内の dns.enhanced-modefake-ip になっているか確認してください。また、他のアンチウイルスソフトやファイアウォールが仮想 NIC をブロックしていないか確認してください。

CPU 使用率が異常に高い

特定のアプリケーションが大量の UDP パケットを送信している場合、TUN モードの処理負荷が高くなることがあります。この場合、スタックを gVisor に切り替えるか、設定で特定のプロセスをプロキシから除外(Bypass)することを検討してください。

まとめ:TUN モードで真の自由を手に入れる

Clash Verge Rev の TUN モードは、ブラウザだけでなくシステム全体の通信を制御するための強力なツールです。設定には管理者権限や Service Mode の理解が必要ですが、一度正しく設定してしまえば、ゲームのラグ解消や UWP アプリの利用において絶大な威力を発揮します。

市販の一般的な VPN ツールと比較して、Clash Verge Rev は「分流(どの通信をプロキシし、どの通信を直結させるか)」の細かな制御が可能です。例えば、日本の動画配信サービスは直結(DIRECT)させ、海外の技術ドキュメントや AI ツールのみを高速なプロキシ経由にするといった運用が自動で行えます。これにより、通信速度の低下を防ぎつつ、必要なサービスのみを最適化できます。

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