Clash Verge Rev とは
Clash Verge Rev(略称 CVR)は、コミュニティによって保守されているオープンソースの Clash 用 GUI クライアントのひとつです。コアには Mihomo(旧 Clash.Meta)を採用し、開発が止まった Clash Verge をフォークして機能追加やセキュリティ修正が続けられています。シンプルな画面構成のまま、新しいプロトコルや TUN、複数プロファイル、設定のオーバーライド(Override)など、実用的な機能が揃っています。
対応プラットフォームは Windows、macOS、Linux のデスクトップのみです。複雑な YAML を自前で書かなくても、プロバイダから渡されたサブスクリプション URL を取り込めば、ノード一覧やルール込みの構成をそのまま利用できます。更新が止まっている Clash for Windows(CFW)の代替として選ぶ利用者も多いです。
Android / iOS 向けの公式アプリはありません。モバイルでも同じ運用をしたい場合は、別のクライアントを組み合わせるか、全プラットフォーム対応の製品を検討してください。
動作環境と準備
インストール前に、次の環境を満たしているか確認してください。
| OS | 推奨・最低バージョン | アーキテクチャ |
|---|---|---|
| Windows | Windows 10(64bit)以降 | x86_64(32bit は非対応) |
| macOS | macOS 11 Big Sur 以降 | Intel(x64)および Apple Silicon(arm64)用ビルドあり |
| Linux | 主要ディストリ(例:Ubuntu 20.04+、Fedora 35+) | x86_64 / ARM64 |
ダウンロードとインストール
当サイトのダウンロードページから、OS に合ったインストーラを取得できます。
Windows の手順
.exe を入手したら、次のとおり進めます。
- ダウンロードした
.exeを実行する - 「Windows によって PC が保護されました」と出たら「詳細情報」→「実行」を選ぶ
- ウィザードに従いインストール先を指定して完了させる
- 完了後、デスクトップのショートカットなどから起動
- 初回は Windows ファイアウォールの許可ダイアログが出ることがあるので「アクセスを許可」する
macOS の手順
.dmg を開いてアプリを Applications にコピーします。
.dmgをダブルクリックしてマウントする- ウィンドウ内で Clash Verge Rev を「アプリケーション」フォルダにドラッグする
- 「アプリケーション」から起動する
- 「開発元が未確認のため開けません」と出たら、「システム設定」→「プライバシーとセキュリティ」で「このまま開く」などで許可する
xattr -cr /Applications/Clash\ Verge\ Rev.app を実行してから再度開いてください。
Linux の手順
ディストリビューションに合わせてパッケージを選びます。
- Debian / Ubuntu 系:
.debを入れ、sudo dpkg -i clash-verge-rev_*.debなどでインストール - Fedora / RHEL 系:
.rpmをsudo rpm -i clash-verge-rev_*.rpmで導入 - AppImage:実行権限を付与して直接起動
初回起動と画面の見方
起動すると、左にナビゲーション、右に内容が表示されるレイアウトになります。主な項目は次のとおりです。
- プロキシ(Proxies):ノードとポリシーグループ。手動で接続先を選ぶ
- プロファイル(Profiles):サブスクリプション由来の設定の管理・更新・アクティブ化
- ルール(Rules):現在のルール一覧の確認・絞り込み
- 接続(Connections):リアルタイムの接続一覧。アプリやドメインで検索可能
- ログ(Logs):接続エラーの原因調査に使う
- 設定(Settings):システムプロキシ、TUN、自動起動、外観など
テーマの切り替えは右上から行えます。初めて Clash 系ツールを触る方でも、画面遷移が追いやすい構成です。
サブスクリプション(購読 URL)の取り込み
多くのプロバイダは、ダッシュボードから Clash 用のサブスクリプション URL を発行します。この URL を CVR に登録すると、ノード情報を定期取得・更新できます。
- 左メニューから「プロファイル(Profiles)」を開く
- 「新規」または「+」で購読を追加する
- 「URL」欄に、プロバイダからコピーしたアドレス(多くは
https://)を貼り付ける - わかりやすい名前(例:メイン用)を付ける
- 保存すると自動で取得・解析が走る
- 成功するとノード数や更新日時が表示される。そのプロファイルをアクティブにする
- 「プロキシ」でポリシーを選び、遅延の小さいノードや自動選択を使う
ルール分流の考え方
Mihomo コアでは、ドメイン・IP・国・ルールセットなどに応じてトラフィックを DIRECT(直結)かプロキシ側に振り分けられます。国内向けを直結にすることで遅延と料金を抑え、必要な通信だけをプロキシに回す、という設計が一般的です。
代表的なルールタイプ
| タイプ | 意味 | 例 |
|---|---|---|
DOMAIN |
ホスト名の完全一致 | DOMAIN,google.com,Proxy |
DOMAIN-SUFFIX |
接尾辞一致(サブドメイン含む) | DOMAIN-SUFFIX,google.com,Proxy |
DOMAIN-KEYWORD |
ホスト名にキーワードを含む | DOMAIN-KEYWORD,google,Proxy |
IP-CIDR |
IPv4 / IPv6 のプレフィックス | IP-CIDR,8.8.8.0/24,Proxy |
GEOIP |
GeoIP による国・地域判定 | GEOIP,JP,DIRECT |
RULE-SET |
外部のルールセットを参照 | RULE-SET,gfw,Proxy |
MATCH |
最後のフォールバック(必ず末尾) | MATCH,Proxy |
コミュニティのルールセットを使う(おすすめ)
個別に数万行ルールを書くのは現実的ではありません。例として Loyalsoldier/clash-rules のようなメンテされたルールセットを参照すると、国内直結・海外プロキシ・広告ブロックなどをまとめて導入しやすくなります。
- 国内向けサービスを直結にまとめる
- 主要な海外サービスをプロキシへ
- 不要ドメインのブロック
CVR の設定オーバーライド(Override)を使うと、元のサブスクリプションを直接編集せずに追記でき、プロバイダ側の更新後もカスタムが維持されやすいです。
TUN モード(全体プロキシ)
TUN は仮想ネットワークインターフェースを作り、OS から見て「普通の NIC 経由の通信」をキャプチャします。ブラウザだけでなく、プロキシ設定を無視する CLI ツール(curl、git、npm など)やゲーム、UDP を含むアプリにも効きます。HTTP プロキシだけの「システムプロキシ」より強力ですが、権限や競合の注意点もあります。
- システムプロキシを参照しないコマンドラインツール
- ゲームランチャーやクライアント
- UDP を使うアプリ
TUN を有効にする手順
- 「設定(Settings)」を開く
- TUN のスイッチをオンにする
- 管理者権限やパスワードの確認が出たら許可する
- 状態が有効(緑など)になれば適用済み
DIRECT 寄りにする方法も検討してください。
よくあるトラブル
症状:ノードが赤字・どこにも繋がらない
想定原因: サブスクリプション期限、ノード全体の障害、課金状態など。
対処: プロファイル画面で更新ボタンを押して再取得する。改善しなければプロバイダのステータスや残量を確認してください。
症状:一部の海外サイトだけ開けない
想定原因: ルールに含まれず直結になっている。
対処: グローバルモードなどでプロキシ経由にすると開けるか試す。開けるならルールセットの追加やオーバーライドでのドメイン追記を検討。
症状:TUN オンでネット全体が不安定/切断
想定原因: ドライバ不備、他 VPN / セキュリティ製品との競合。
対処: TUN を一度オフ、アプリ再起動後、管理者権限で再度オン。設定でスタックを System から gVisor に変えて試す方法もあります。
症状:macOS で「破損しているため開けません」
想定原因: Gatekeeper や拡張属性。
対処: ターミナルで次を実行してから起動し直す。
xattr -cr /Applications/Clash\ Verge\ Rev.app
症状:サブスクリプション取得がタイムアウトする
想定原因: ネットワーク経路、使用中のプロキシの干渉、プロバイダ側の制限。
対処: システムプロキシを一時オフして再試行。購読のリクエストヘッダで User-Agent を clash-verge に変えると通るケースもあります。
デスクトップ以外もまとめて運用したい場合
Clash Verge Rev はデスクトップ向けに優れた選択肢ですが、次のような制約があります。
- モバイル非対応:スマホ用の同梱アプリはない
- Windows の WebView2:環境によって UI が表示されないことがある
- 端末間の設定同期:別クライアントとの一元管理は自分で組む必要がある
PC とスマホの両方で同じ思想のクライアントを使いたい場合は、同じ Mihomo 系コアを採用したマルチプラットフォーム製品の利用も選択肢です。ダウンロードは国内ミラー経由で取得できる構成にしているサービスもあり、初回セットアップの負担を減らせます。