この記事で分かること

Windows 11 26H1 へアップデートしたあと、「ブラウザは開くのに一部のサービスだけ接続できない」「以前のプロキシ設定が効かなくなった」「AI サービスの応答が途中で止まる」といった問題に困っていませんか。本稿では、Windows 11 26H1 で Clash Verge を使い始めるための基本手順を、インストール前の確認からプロファイル追加、ノード選択、モード変更、接続テストまで順番に説明します。

Windows の大型アップデートでは、ネットワークアダプター、ファイアウォール、システムプロキシ、仮想ネットワークドライバーの状態が変わることがあります。そのため、以前の設定をそのまま復元するだけでは、Clash Verge が起動していても通信が直接接続へ流れたり、TUN が開始できなかったりする場合があります。最初から複雑な設定を一度に変更せず、通常のシステムプロキシで動作を確認してから、必要に応じて TUN を検討する流れが安全です。

なお、Clash Verge は通信を自動的に提供するアプリではありません。利用するには、契約中のサービスや管理者から発行された Clash 互換のプロファイル、または購読 URL が必要です。入手元が不明なファイルや、公開チャットに貼られた URL は使わず、提供元と利用条件を確認してください。

導入前に確認すること

まず、Windows 11 26H1 の更新が完全に終了しているかを確認します。設定の「Windows Update」に再起動待ちの項目が残っている場合、ネットワークドライバーやセキュリティ更新が適用途中になっている可能性があります。更新を一度完了させ、再起動後に通常のブラウザでウェブサイトを開けることを確認してから Clash Verge の設定を始めてください。

次に、ほかの VPN クライアント、旧式の Clash 系アプリ、企業向けの通信監視ソフトが動いていないか確認します。複数のアプリが同時にシステムプロキシや仮想アダプターを変更すると、接続先が分からなくなり、Clash Verge のログにも原因が一つに絞れないエラーが表示されます。移行作業中だけは、不要な VPN を終了し、以前のクライアントの自動起動も一時的に停止すると切り分けやすくなります。

確認項目 確認する内容
Windows の状態 26H1 の更新と再起動が完了していること
権限 アプリのインストールとネットワーク変更を許可できること
競合ソフト 別の VPN、プロキシ、旧 Clash クライアントを停止すること
プロファイル Clash 互換の購読 URL または YAML ファイルを準備すること
復元情報 現在の Windows プロキシ設定と DNS 設定を記録しておくこと
TIP:アップデート前に使っていたプロキシのホスト、ポート、除外リストをメモしておくと、接続できないときに「Clash Verge の問題」と「Windows 側の変更」を分けて確認できます。

ステップ 1:Clash Verge をインストールする

Clash Verge は、開発元が案内する正規の配布ページから取得してください。検索結果には、古いビルドを置いた再配布サイトや、ダウンロードボタンに見せかけた広告が表示されることがあります。ファイルを保存する前に、配布元のドメイン、リリース情報、対応する Windows アーキテクチャ、ファイルの拡張子を確認しましょう。

Windows 11 の一般的なパソコンでは、通常は x64 版を選びます。ARM 搭載端末では ARM64 対応版の有無を確認し、対応版がない場合は互換実行での動作になる可能性を理解しておく必要があります。ダウンロードしたインストーラーを実行する前に、Windows Defender などの警告内容を読み、配布元とファイル名が一致していることを確認してください。

インストーラーを起動したら、表示された利用規約とインストール先を確認して進めます。管理者権限を求められた場合は、Clash Verge がシステムプロキシの変更や TUN 用のネットワーク機能を使うために必要としている可能性があります。ただし、管理者パスワードを入力する画面が予想外の場所から表示された場合は、いったんキャンセルし、実行したファイルの出所を再確認してください。

インストール後、Clash Verge を起動します。アプリの画面がすぐに表示されなくても、タスクトレイに常駐していることがあります。タスクバー右側の通知領域を開き、Clash のアイコンを確認してください。アイコンが見つからない場合は、タスクマネージャーでプロセスが残っていないかを確認し、残っている場合はいったん終了してから再起動します。

ステップ 2:プロファイルと購読 URL を追加する

Clash Verge の通信先を決めるには、プロファイルを追加します。プロファイルにはノード、プロキシグループ、ルール、DNS などの情報が含まれています。画面の「Profiles」または「プロファイル」に相当するページを開き、購読 URL を入力する欄を探してください。バージョンや表示言語によって項目名が異なることがありますが、基本的な流れは「URL を入力する」「追加または取得する」「一覧から読み込んだプロファイルを選ぶ」です。

URL を貼り付けるときは、前後に空白や改行が入っていないか確認します。購読 URL はアカウント情報を含む場合があるため、スクリーンショットやログへそのまま載せないでください。追加後にプロファイル名が表示されても、まだ通信に使われているとは限りません。対象のプロファイルを選択し、更新日時や取得結果、ノード一覧が正常に表示されることまで確認します。

YAML ファイルを利用する場合は、文字コードやファイルの内容を変更せずに読み込んでください。手動編集する場合は、インデントの崩れ、コロンの不足、重複したキーがないかに注意します。設定ファイルを大きく書き換える前にコピーを保存し、変更した項目を記録しておくと、更新後に元へ戻す作業が簡単になります。

プロファイルの取得に失敗する場合は、購読 URL の期限、アクセス回数制限、現在のネットワークから提供元へ接続できるかを確認します。Clash Verge 自体がまだプロキシとして動いていない段階で、同じ Clash の通信経路を使って購読を取得しようとすると、原因を追いにくくなります。まずは通常のブラウザで URL が有効かを確認し、必要なら提供元へ再発行を依頼してください。

ステップ 3:ノードとプロキシグループを選ぶ

プロファイルを読み込んだら、プロキシグループの画面で利用するグループを確認します。グループには複数のノードが登録されていることが多く、自動選択、手動選択、負荷分散などの方式が用意されています。最初は自動選択だけに任せるより、遅延テストの結果と実際の安定性を見ながら、用途に合うノードを一つ選ぶほうが状況を把握しやすくなります。

遅延が低いノードでも、動画、ファイル転送、AI サービスのストリーミング通信まで安定するとは限りません。短い ICMP や HTTP のテストが成功していても、長時間の HTTPS 接続で切断されることがあります。ウェブページ、動画、開発ツールなど、実際に使うサービスを一つずつ開き、速度だけでなく応答の継続性を確認してください。

プロファイルのルールが正常であれば、国内サイトや社内サービスは DIRECT、対象の外部サービスは PROXY というように、ドメインごとに経路が分かれます。すべての通信を常にプロキシへ送る Global モードは原因の切り分けには便利ですが、社内システムや銀行サイトまで迂回して遅くなることがあります。通常利用では、まず Rule モードを基本にするのが無難です。

TIP:ノードを変更した直後は、ブラウザの既存接続や DNS キャッシュが残っていることがあります。テスト結果が変わらない場合は、対象ページを閉じて開き直し、必要ならブラウザを再起動してください。

ステップ 4:システムプロキシと TUN を使い分ける

Clash Verge をブラウザや一般的な Windows アプリで使う場合、最初は システムプロキシを有効にします。Clash Verge の設定画面またはタスクトレイメニューからシステムプロキシをオンにすると、Windows のプロキシ設定を参照するアプリが Clash のポートへ接続するようになります。オンにしたあと、ブラウザで確認ページを開き、Clash のログにリクエストが表示されるかを確認してください。

システムプロキシを有効にしても、すべてのアプリが自動的にプロキシを使うわけではありません。ゲーム、独自の TLS 実装を使うアプリ、管理者権限で動くサービス、環境変数だけを読む CLI は、Windows のプロキシ設定を無視することがあります。この場合は、アプリ側のプロキシ設定に Clash の HTTP または SOCKS ポートを入力するか、アプリが対応していれば HTTP_PROXYHTTPS_PROXY を設定します。

TUN モードは、アプリが明示的なプロキシ設定を持たない場合でも、より広い範囲の通信を Clash 側へ取り込むための機能です。ただし、仮想ネットワークアダプター、DNS、Windows ファイアウォール、他の VPN と関係するため、システムプロキシよりもトラブルの要因が増えます。TUN を有効にする前に、管理者権限、TUN ドライバーの状態、他の VPN の停止、IPv6 の扱いを確認してください。

TUN を試すときは、システムプロキシと同時にオンにするかどうかを慎重に判断します。両方を有効にしても問題なく動作する構成はありますが、ループや二重経路が発生する環境もあります。まずシステムプロキシだけで動作を確認し、特定のアプリだけが接続できない場合に TUN を追加し、変更後は一項目ずつログを比較する進め方が分かりやすいです。

AI サービスを利用するときの確認ポイント

AI サービスは、ブラウザ画面だけでなく、認証、API、ストリーミング、ファイルアップロードなど複数の接続を使うことがあります。そのため、トップページが表示できても、ログイン、モデル一覧の取得、生成結果のストリーミングだけが失敗する場合があります。Clash Verge のログで、失敗した時刻の前後にどのホストが表示され、どのルールとノードへ送られたかを確認してください。

ドメインをルールへ追加するときは、検索結果にある不確かな一覧をそのまま大量に登録するのではなく、実際のログに出たホストを起点にします。認証用ホストだけを PROXY にし、API 本体を DIRECT に残すと、ログインは成功するのに生成処理が止まることがあります。逆に、社内の認証やローカルサービスまで PROXY にすると、別のログイン障害を作る可能性があります。

ターミナルや IDE から AI サービスを呼び出す場合は、Clash Verge のシステムプロキシがそのプロセスへ伝わるとは限りません。PowerShell などで環境変数を確認し、ツールのドキュメントに従ってプロキシを設定します。設定後は、ターミナルを開き直してから再試行してください。古いプロセスが以前の環境変数や DNS 情報を保持していると、設定を変えても挙動が変わらないことがあります。

また、AI サービスのエラーがすべてプロキシ原因とは限りません。API キーの権限、利用地域、レート制限、請求設定、モデル名の誤りでも似たエラーが出ます。Clash のログで通信が PROXY へ送られ、TLS 接続も完了しているなら、サービス側のレスポンスコードや公式ドキュメントを確認し、ネットワーク問題とアカウント問題を分けて調査してください。

接続できないときの切り分け

Clash Verge を使い始めてから通信できなくなった場合、まずシステムプロキシをオフにして、通常の Windows 接続へ戻します。これで通信が復旧するなら、プロファイル、選択ノード、Clash のポート、または Windows のプロキシ設定が原因である可能性が高くなります。復旧しない場合は、Wi-Fi、DNS、ファイアウォール、Windows Update 後のネットワークドライバーなど、Clash 以外の層を確認します。

  • Clash Verge が起動しない:タスクトレイとタスクマネージャーを確認し、古いプロセスを終了してから再起動します。
  • プロファイルを取得できない:購読 URL の期限、空白文字、提供元側のアクセス制限を確認します。
  • ノードは表示されるが通信できない:ノードを変更し、ログで接続エラー、TLS エラー、タイムアウトを確認します。
  • ブラウザだけ動く:対象アプリがシステムプロキシに対応しているか、アプリ内プロキシや環境変数が必要かを確認します。
  • TUN だけ失敗する:管理者権限、仮想アダプター、Windows ファイアウォール、他の VPN との競合を調べます。

設定を初期化する前に、現在のプロファイルとログを保存しておくと、サポートへ相談するときに役立ちます。エラー画面だけでなく、発生時刻、利用したノード、Rule か Global か、システムプロキシか TUN かも記録してください。問題を再現できる情報がそろっていれば、単に「接続できない」と伝えるより、原因を短時間で特定できます。

よくある質問

Windows 11 26H1 に更新したら、以前の Clash 設定はそのまま使えますか。

使える場合もありますが、必ず動作するとは限りません。Windows のプロキシ設定、ネットワークアダプター、TUN ドライバー、ファイアウォール規則が更新によって変わる可能性があります。プロファイルをバックアップしたうえで、まずシステムプロキシだけを有効にし、TUN は必要な場合に後から確認してください。

Rule モードと Global モードはどちらを使うべきですか。

通常利用では Rule モードが向いています。国内サイトや社内サービスを直接接続にしながら、必要なドメインだけをプロキシへ送れるためです。Global モードは、ルールの誤判定を疑うときや、短時間の比較テストを行うときに使い、常用する場合は通信先とプライバシーへの影響を理解しておきましょう。

AI サービスだけ接続できないときは、TUN を有効にすれば直りますか。

必ず直るわけではありません。認証ホストと API ホストのルール漏れ、CLI の環境変数不足、API キーの権限、サービス側の制限など、複数の原因が考えられます。Clash のログで該当通信がどの経路へ送られたかを確認し、まずルールとアプリ側のプロキシ設定を調べてください。

ノードの遅延が低ければ、最も安定していますか。

遅延値は一つの目安にすぎません。短いテストが速くても、長い HTTPS 接続、動画、ファイル転送、AI のストリーミングで切断されることがあります。実際に使うサービスを複数試し、時間帯を変えて応答の継続性とエラーの少なさを比較してください。

Windows の標準プロキシだけに頼る方法は設定が簡単な一方、アプリごとの対応差が大きく、AI ツールや開発用 CLI ではプロキシが無視されることがあります。別の VPN クライアントは全体を扱いやすい反面、ルールの確認やアプリ別の分流が難しく、Windows 26H1 の更新後に仮想アダプターが競合することもあります。その点、Clash Verge はプロファイル、Rule モード、ログ、システムプロキシ、必要に応じた TUN を段階的に使い分けられるため、原因を確認しながら Windows 環境を整えやすい構成です。Windows 11 26H1 でアプリごとの接続経路を整理したい場合は、利用環境に合う版を選んで導入すると、設定変更の影響も追いやすくなります。

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